日々の食事を楽しむため、また美しい口元を保つため、さらには全身の健康を維持するためにも「かみ合わせ」は非常に重要な役割を果たしています。
たとえ歯並びが綺麗だとしても、かみ合わせの問題は見た目では分からないこともよくあるので、かみ合わせを気にする方は少なく、その重要性はあまり認識されていないかもしれません。
本記事では、かみ合わせの基本知識から、かみ合わせが悪い場合に起きる問題や改善方法まで徹底解説いたします。かみ合わせに不安がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
「かみ合わせ」とは、上下の歯がどのようにかみ合っているのか、その「位置関係」や「接触状態」を示すものです。
上下の歯が適切な位置でかみ合っていないと、お口の中だけの問題に留まらず、さまざまな支障をきたします。
また、かみ合わせは、上下の歯の位置関係だけでなく、口を開けたり閉じたりする動作に関わる顎関節の状態や筋肉の働きなど、さまざまな要素が影響を及ぼします。
正しいかみ合わせは、上下の歯が均等にかみ合っており、噛む動作がスムーズに行える状態を指します。
正しいかみ合わせの主な特徴は、以下の通りです。
・前歯は、上の歯が下の歯を覆うようにかみ合っている
・奥歯は、上下の歯が重なるようにかみ合っている
・上の歯1本に対し、下の歯が2本かみ合っている
・かみ合わせたときに、顎関節に痛みや違和感がない
良好なかみ合わせは、咀嚼筋や顎関節に負担をかけずに食べ物を効率よくかみ砕き、さらには全身の健康を維持することに役立ちます。
かみ合わせが悪くなる原因は、大きく分けて先天的な原因と、後天的な原因の2つがあります。
・先天的な原因…遺伝、骨格的な要因、歯の形や大きさの異常、筋肉や神経の異常など
・後天的な原因…歯の欠損(抜歯後の放置)、歯周病、顎関節症、歯ぎしり・食いしばり、口呼吸、かみ癖、頬杖・横向き寝などの癖など
かみ合わせは、歯や顎関節、さらに全身の健康にも重要な役割を果たしています。
具体的にどのような点で重要なのか、以下でもう少し詳しくみていきます。
咀嚼能力(噛む力)が正常であれば、食べ物を効率よく噛み砕くことができます。これにより食べ物の消化吸収が良くなり、必要な栄養素を身体に摂取することが可能です。
また、かみ合わせが良好であれば、自身で適切なケアを行うことにより虫歯や歯周病リスクも軽減できます。健康な歯を維持して、歯の全体的なバランスや噛む力を維持できることは生涯にわたって重要なポイントです。
かみ合わせは、言葉をはっきりと発音するためにも重要です。特に、「さ」や「し」、「ち」などをクリアに発音するには正しいかみ合わせが必要不可欠です。
発音が不明瞭になると、コミュニケーションが円滑に進まないだけでなく、自信喪失や対人関係のトラブルの原因になることもあります。
かみ合わせが悪いと、無意識に顎を動かし続けるため、顎関節に過剰な負担がかかり、顎関節症(口を開こうとすると顎関節や顎を動かす筋肉が痛む、大きく口を開けられないなど)になる可能性があります。また、それが頭痛や肩こりなどの症状を引き起こすこともあります。
反対に、正しいかみ合わせであれば、顎関節への負担を軽減でき、それに起因する身体の不調も防ぐことができるのです。
かみ合わせを改善することで、歯並びが整い、見た目が美しくなります。
それにより、口元の表情が明るくなり、コミュニケーションや人間関係にも良い影響を与えます。
のちほど詳しく説明しますが、かみ合わせが悪い場合、
・消化不良や栄養不足
・顎関節症とそれに伴う頭痛や肩こり
・歯周病からくる心臓病や脳卒中などの病気のリスク
・見た目や咀嚼機能の不安からくるストレス
といった、全身のさまざまな健康問題に関わる可能性があります。
反対に、正しいかみ合わせを維持・改善することは、全身の健康を維持したり、病気を予防したりすることにもつながるわけです。
このように、かみ合わせは、歯や顎関節、見た目、そして全身の健康にも重要な役割を果たしています。
では、かみ合わせが悪い場合、どのような問題が生じてくるのかについて、次の項目で説明していきます。
正しくかみ合わない状態、かみ合わせが悪い状態は「不正咬合(ふせいこうごう)」と呼ばれます。
この不正咬合の場合、以下の問題や症状を引き起こす可能性があります。
・噛む力の問題:食べ物を十分にかみ砕けず、消化不良や栄養不足になる
・顎関節の問題:顎関節に負担がかかり、顎関節症になる
・口腔内の問題:歯や歯周組織に負担がかかり、虫歯や歯周病になる
・身体の問題:頭痛や肩こりなど、身体の不調を引き起こす
上記の問題について1つずつ詳しくみていきましょう。
歯には「噛む」という重要な役割がありますが、かみ合わせが悪いと、噛む力が弱くなります。それにより、十分にかみ砕けない場合、消化酵素が効率よく働かず、栄養素が吸収されにくくなって栄養不足に陥いることも…。
さらに、食べ物を十分にかまずに飲み込むことで胃や腸に負担がかかり、消化不良や胃腸炎などの原因になる可能性もあります。
顎関節は、上下の歯がかみ合うときに動く重要な関節です。かみ合わせが悪いと、顎関節に過剰な負担がかかり、顎関節症になる可能性があります。
顎関節症になると、「顎関節の痛み」や、口が大きく開けられない「開口障害」などの症状が現れます。
顎関節の痛みや口の動きの制限など、食事や日常生活にも大きな影響を及ぼすほか、ときに顎関節の痛みは頭痛や肩こりなどの原因になることもあります。
かみ合わせが悪く、歯が不適切に重なり合ったり、かみ合わない部分が生じたりすると、歯の磨き残しや歯垢の蓄積を招き、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
かみ合わせが悪い状態でさらに歯周病に対するケアを怠ってしまうと、歯周病はどんどん進行していくと言われています。
かみ合わせが悪いと、全身の健康にも悪影響を与える可能性があります。具体的には、以下の影響が考えられます。
・消化不良や栄養不足
・顎関節症
・頭痛や肩こり
・心臓病や脳卒中などのリスク増加
一見して歯とは離れている場所の症状や関係なさそうに感じる症状も、実は「かみ合わせ」が原因で起こることがあるのです。
実際に、かみ合わせが悪いことで、頭や首、肩の筋肉に負担がかかるほか、顔面の骨格や筋肉のバランスが崩れる可能性があり、それが頭痛や肩こりを引き起こします。
また、歯周病になると、歯周病菌が血液中に流れ出し、心臓や脳卒中、糖尿病などの重大な疾患につながることも分かっています。
このように「かみ合わせ」は、口腔内だけの問題に留まらず、全身にまで悪影響を与える可能性があります。そのため、かみ合わせが気になる方は早めに歯科医院を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
かみ合わせの治療を一言で言うと、様々な原因によってズレてしまった「かみ合わせの位置を調整」していく治療です。
それでは、歯科医によるかみ合わせの診療方法と具体的な治療法について見ていきましょう。
歯科医によるかみ合わせの診療は、まず問題のある箇所を見つけることから始まります。具体的には、以下の方法でかみ合わせの状態を診断します。
・問診:かみ合わせに関する症状についての聞き取り
・視診:歯の並びや、歯と歯茎の状態などを確認
・レントゲン・CT検査:歯の位置や、顎関節の状態などを確認
・顎口腔機能診断装置を用いた検査:上下の歯のかみ合わせの状態をより精密に検査
かみ合わせの異常はどうしても自分では気付きにくいため、歯科医院などで適切な診断を受けるのが確実です。
かみ合わせの状態や原因によって治療法は様々ですが、基本的には以下のような治療法が挙げられます。
・歯列矯正(矯正治療)
歯並びを整えてかみ合わせを改善する治療です。ワイヤーやマウスピースを使って歯を動かします。
ワイヤー矯正は、歯にブラケットと呼ばれる装置を装着し、ワイヤーで歯を動かす治療です。一方、マウスピース矯正は、取り外し可能なマウスピースを装着して歯を動かす方法です。
・インプラント治療
インプラント治療は、欠損した歯を人工歯根で補うことでかみ合わせを改善する治療です。たった1本歯がないだけで、かみ合わせや歯の全体のバランスに大きな悪影響を及ぼします。
その点インプラントは、今までの自分の歯と遜色ない働きを担い、モノをしっかり噛めるようになるため、かみ合わせの改善に有効な方法だと言えます。
・咬合調整
咬合調整とは、歯の位置やかみ合わせを直接調整する治療です。
診断を元に、歯を削って歯の形や高さを揃えることでかみ合わせが改善し、正しく・バランスよく噛むことができるようになります。
・虫歯、詰め物や被せ物の治療
例えば、虫歯で痛みがある、以前治療した際の詰め物や被せ物が劣化しているなどの理由があると、無意識のうちにその歯を避けて噛むことが増えてきます。
どちらか片側だけで噛むようになれば当然、歯のバランスが崩れてかみ合わせの悪化につながります。歯科医院では、虫歯の進行具合に合わせて適切な治療を行うことで、上記のようなかみ合わせの問題改善へ導きます。
かみ合わせの状態にもよりますが、数回の治療で改善することもあれば、治療法によっては数ヶ月から数年という長い期間を要することもあります。
治療期間中は、歯科医の指示に従って、定期的な通院と治療の継続が大切です。
ご自身でできるかみ合わせを予防・改善する方法は、大きく分けて以下の3つが挙げられます。
たとえかみ合わせが悪くても、初期の段階では自覚症状がないことがほとんどです。そのため、定期的な歯科検診を受けることで、早期に問題を発見・治療することができます。
正しい咀嚼をすることで、かみ合わせの際にかかる負担を軽減することができます。
以下の3つのポイントを押さえた咀嚼を心がけましょう。
・ゆっくり噛む
・両側の歯をバランスよく使う
・顎関節に無理な力をかけない
これにより歯周病の予防や、歯の健康状態を保つことも可能になります。
食生活の見直しも、かみ合わせの悪影響を抑える効果的な方法です。硬い食べ物やかみごたえのある食べ物を摂ることで、かみ合わせの際に必要な筋肉を鍛えることができます。
また、野菜や果物の摂取など、バランスの良い食事を心がけ、口内環境を整えることも有効です。
片側の歯だけで噛む、よく頬杖をつく、爪を噛む、横向き寝などもかみ合わせ悪化の原因となるため、心当たりがある方は自分の「癖」を見つめ直してみましょう。
かみ合わせの問題を予防・改善するには、ここまで説明した生活習慣の見直しと、歯科医院での専門的な治療を組み合わせていくことが重要です。
もちろん、正確な診断は歯科医院でしかできません。しかし、かみ合わせの悪化を防ぐためにも普段から意識をしておくことは大事です。
そこで、自分で簡単にできる「かみ合わせ」チェックポイントをご紹介します。
・左右の前歯の中心はどこにある?(上下前歯の中心が一直線上にあるとGood!)
・抜けた歯をそのままにしていない?(抜歯を放置していたら今すぐ歯科医院へ)
・奥歯をかんだときの上下の前歯のすき間はどのくらい?(5ミリ以上のすき間は要注意)
・顎を大きく開いた時に、痛みや違和感、片側だけ開きにくいことはない?(気になる症状があれば歯科医へ相談を)
・噛むときに歯の痛みや不快感はない?(ある場合は歯科医院で治療が必要!)
・発音に問題はない?(うまく発音できない場合は注意)
なお、これらはあくまでも自分でできる簡易的なチェック方法です。
かみ合わせに不安がある場合は、早めに歯科医院を受診して、かみ合わせの状態を正確に診断・治療してもらいましょう!
見た目が悪くなければ、日々の生活の中で意識されることの少ない「かみ合わせ」ですが、口内環境だけでなく、口もとの印象や健康維持にとっても重要な役割を果たしています。
ご自身で日々のケアや生活習慣に気を配りながら、定期的に歯科医院で歯科検診を受け、健康的な口元を手に入れましょう!
大切なことは、早めの対策と定期的なチェックです。かみ合わせに関するお悩みや、歯に関わることで不安なことがある方は、一人で悩まず、ぜひ一度「高田歯科クリニック(杉並区荻窪)」へご相談ください。
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