むし歯を放置するのはNG|10年間放置すると恐ろしい結末が

「むし歯になると歯が痛くなる」このようなイメージのみを持っている方も多いのではないでしょうか?しかし、実際のところはそれだけにとどまりません。痛みが生じるのはもちろんのこと、口臭などの面で症状が現れ、最悪の場合、全身に影響が及ぶこともあります。
本記事では、むし歯を初期段階~10年放置することによって起こるリスクや放置した際の治療について、むし歯の進行を防ぐ方法を紹介します。

むし歯を何年も放置しているとどのような結果が待っている?

「むし歯をそのままにするのは良くない」とは誰しも思うことでしょう。しかし、初期症状では痛みが少ないこともあり、そのままにしてしまうケースも珍しくありません。では、むし歯を数年や10年といった長い間、むし歯を放置すると放置してしまうとどのような状態になってしまうのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

強烈な歯の痛みが生じる

むし歯の最初の段階は、ごく小さい黒い点や白い斑点として歯の表面に現れることが多いです。この段階ではまだ痛みもほとんど感じません。しかし、この初期のむし歯を放置すると、むし歯菌は歯のエナメル質をさらに浸食し続け、歯の内部へと侵入します。時間が経つにつれて、痛みや歯の感度が増し、冷たいものや甘いものを口にした際や、夜間に特に酷くなることが多い傾向にあります。

強い口の臭いが生じる

むし歯の進行や感染により、口内に死んだ組織や膿、むし歯菌の繁殖による有害なガスが生じ、これが非常に強い口臭の原因です。この臭いは日常生活においても周囲の方々に感じられることがあり、コミュニケーションに支障をきたす可能性があります。

膿が蓄積し顔の腫れや痛みが生じる

むし歯が深く進行すると、歯の神経や根っこの周りに膿が溜まることがあります。この膿は感染した部位から周囲の組織や顎の骨に拡がるリスクがあり、放置すると顔の腫れや強い痛みを伴うことも。さらに、長期間放置すると骨をも破壊する可能性があります。

副鼻腔炎のリスクが高まる

上顎の奥歯のむし歯を放置すると、副鼻腔炎の発症リスクが高まります。副鼻腔とは、鼻の周りや頬の部分にある空洞で、この部分が感染すると頭痛や顔の痛みなどの症状が出現します。

顎骨骨髄炎のリスクが高まる

むし歯の感染が顎の骨に到達すると、顎骨骨髄炎という骨の感染症を引き起こすリスクがあります。この病気は非常に治療が困難であり、最悪の場合、感染部位の骨を切除する必要が出てきます。

脳や心臓への影響

口腔内の感染は全身に影響を及ぼす可能性があります。特に、むし歯からの感染が血流に乗って全身を巡ると、心臓や脳に悪影響を及ぼす可能性があります。重大な合併症のリスクを回避するためにも、早期の治療が非常に重要です。

放置したむし歯の治療法

むし歯を放置していた場合、どのような治療が必要なのでしょうか。 むし歯の程度によって適切な治療法は異なりますが、放置したむし歯が進行している場合、一般的なむし歯の治療よりも複雑なアプローチが必要になる場合があります。それぞれの程度の治療法を見ていきましょう。

中程度のむし歯の治療アプローチ

中程度のむし歯の場合、最も一般的な治療は詰め物(歯科用の詰め材でむし歯部分を埋める)や被せ物(クラウン)の装着です。しかし、数年~10年以上も放置していた場合は、神経の炎症や感染が広がっている可能性も考えられます。そのような場合は、根管治療が必要になることもあります。根管治療は歯の神経を取り除き、感染を防ぐためのもので、放置したむし歯においてよく行われます。

重篤なむし歯の治療プラン

10年以上もの長い期間放置していたむし歯は、非常に進行している可能性が高く、通常の治療法では対応しきれない場合があります。顎の骨への感染や周囲の組織への影響も考慮に入れなければならず、抗生物質の使用や、場合によっては歯を抜く必要があるかもしれません。さらに進行している場合には、インプラントやブリッジといった代替治療も選択肢として検討する必要があります。

10年間むし歯を放置した際に必要な治療費用

むし歯を10年間も放置した場合、治療には相応の費用がかかる可能性が高いです。 早期治療よりも複雑で高度な治療が必要になるため、その費用もそれに比例して高くなることが多いです。以下に、治療の種類別にその費用について詳しく説明します。

一般的な治療のコスト

10年も放置していたむし歯の一般的な治療には、通常の詰め物や根管治療、歯の抜歯が考えられます。詰め物は一般的に数千円から数万円、根管治療は数万円から十数万円、歯の抜歯は数千円から一万数千円程度が目安です。

保険が適用される場合の料金

健康保険が適用される場合、上記の費用は大幅に削減されます。しかし、すべての治療が保険適用されるわけではありません。高度な治療や美容目的の治療には保険が適用されない場合が多いです。

インプラントやクラウンを含む高額な治療オプションの料金

10年もの放置が進行している場合、歯を失ってしまったり、周囲の骨や組織に深刻なダメージを与えている可能性があります。そのような場合、インプラントやクラウン、ブリッジといった高度な治療が必要になることがあります。これらの治療は高額で、数十万円から数百万円程度かかる場合もあります。

インプラント手術のステップ

むし歯を放置してしまった結果、歯を失ってしまった場合、インプラント治療が有効な選択肢となります。 インプラント治療は複数のステップで行われる高度な治療ですが、成功率は非常に高く、自分自身の歯に近い使用感が得られます。以下に、インプラント手術の基本的なステップについて説明します。

STEP1: インプラントの置き換え

まず初めに、歯が失われた部分にインプラント体(スクリュー)を骨に固定します。このステップは外科手術になるため、局所麻酔または全身麻酔のもとで行います。インプラント体がしっかりと固定されたら、一定期間(数週間から数ヶ月)の経過を待ちます。この期間はインプラント体が骨と結合するために必要な時間です。

STEP2: 人工歯の土台の取り付け

次に、インプラント体がしっかり骨と結合したことを確認した上で、人工の歯(クラウン)を支える土台(アバットメント)をインプラント体に取り付けます。この作業は通常、局所麻酔下で行われます。

STEP3: 人工歯の取り付け

最後のステップとして、人工の歯(クラウン)を土台に取り付けます。この人工の歯は自然な歯と同じような形状と色に作られており、他の健康な歯と調和するように形成されます。

むし歯の進行を防ぐ方法

むし歯は、一度始まってしまうと原則自然には治ることがありません。そのため、予防が非常に重要です。本章では、むし歯の進行を防ぐために日常で気を付けたいポイントや定期的な歯科診察の重要性について詳しく解説します。

日常の歯のケアと維持方法

日常的なオーラルケアが、むし歯予防の第一歩です。最低でも1日2回、朝と夜のブラッシングは必須です。特に就寝前のブラッシングは、夜間の唾液の分泌が少なくなるため重要です。フロスや歯間ブラシを使用して、歯と歯の間のケアも怠らないようにしましょう。また、食後はなるべく早く口の中をすすぐ、または軽くブラッシングすることもおすすめです。

口腔ケア用品(歯ブラシ、歯磨き粉、口 rinse など)は、フッ素を含むものを選ぶとより効果的です。フッ素は、歯のエナメル質を強化し、むし歯菌の活動を抑制します。

定期的な歯科診察の価値

多くの人が思っているよりも、定期的な歯科診察は非常に重要です。むし歯は初期段階ではほとんど痛みを感じないことが多く、進行して初めて気付くケースが多いためです。半年に1回の定期検診で、初期のむし歯を早めに発見できれば、治療も簡単かつ費用も抑えられることでしょう。

また、歯科医師によるプロフェッショナルなクリーニングは、日常のブラッシングでは取りきれないプラークや歯石をしっかりと除去してくれます。これにより、むし歯や歯周病のリスクが大幅に低減できます。

早めの歯科治療を検討しよう

歯の健康が全身の健康に密接に関連していることを、ご存知ない方も多いことでしょう。 歯や口腔の問題は、時に重大な健康問題を引き起こす可能性があります。それだけに、むし歯やその他の口腔の問題は早めに対処することが重要です。

死を引き起こすリスクも考慮

この見出しが衝撃的に思えるかもしれませんが、実は口腔内の感染症は時に生命に関わる事態を引き起こす可能性があります。例えば、高度に進行したむし歯や歯周病が全身に悪影響を及ぼし、最悪の場合、脳炎や心内膜炎などを引き起こすことがあります。

特に、心臓に既存の問題がある場合や免疫力が低下している場合、口腔内のバクテリアが血流に乗って全身に広がり、重篤な健康問題を引き起こすリスクが高まります。このような事態を防ぐためにも、むし歯を発見したら、なるべく早く歯科医院での診断と治療を受けることを強く推奨します。

むし歯治療を進める際のヒント

むし歯治療に関して「何から手をつければいいか分からない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。そのような方に向けて治療をスムーズに進めるための具体的なヒントを4つご紹介します。

むし歯を予防するための知識を身につける

第一に、再発を防ぐためにはむし歯の予防知識が不可欠です。正確なブラッシング・フロスの使い方、適切な口腔ケア製品の選び方など、基本的なことからしっかりと学びましょう。

治療の目標を明確にする

治療を始める前に、具体的な目標を設定してみましょう。
痛みを和らげたい
見た目を改善したい
噛み合わせを良くしたいなど
目標によって最適な治療方法が異なります。

治療後の定期的なフォローアップと管理

治療が終わったからといって安心することは禁物です。日々のオーラルケアはもちろん、定期的に歯石を取り除くための定期検診も欠かさず行いましょう。

計画的な治療のアプローチ

治療は一度きりではありません。どの程度の頻度で治療を受けるべきか、またそのスケジューリングはどうすべきか、歯科医としっかりと計画を立てましょう。

むし歯の放置に関してよくある質問

安全なむし歯放置の期間は?

結論、むし歯の放置は初期段階であったとしても推奨できません。 しかし、ご自身がむし歯だと気づかずに生活してしまうこともあるでしょう。リスクを理解して適切な対応をしていただくことが重要です。

むし歯の放置は高リスク

初期のむし歯は痛みや不快感が少ないため、気づきにくい場合があります。しかし、放置すればするほどむし歯の進行は早まり、歯の構造や機能を損なう可能性が高まります。最悪のケースでは、感染が広がり、重篤な状態に至るリスクも。放置することで治療が複雑になり、治療費や時間も増大する可能性があります。したがって、もしむし歯の疑いがあれば、すぐに歯科医院での診断・治療をおすすめします。

むし歯は放置で自然治癒するの?

原則、むし歯は自然治癒することはありません。むし歯は、歯のエナメル質や象牙質が細菌によって徐々に破壊されていく病気です。一度破壊された部分は自然に再生することはなく、放置すればさらに悪化します。また、進行したむし歯は歯の神経を侵害する可能性があり、その結果として激しい痛みや膿んだ状態になることも。このように、自然に治ることは期待できないため、早期の治療が必要です。

健康な歯を長く保とう

本記事では、むし歯を長い間放置した際のリスクや治療について紹介しました。むし歯は原則自然治癒することがないため、初期段階での発見が今後の生活に影響します。健康な歯を長く保つために、数ヶ月や半年に1回は歯科医への定期検診を受け、日々のケアを欠かさず行いましょう。

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